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雇用契約書の電子化とは?法的要件と進め方をわかりやすく解説

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この記事のポイント

雇用契約書の電子化は、労働者本人の希望などの要件を満たせば法的に有効で、印刷や郵送のコスト削減と入社手続きの効率化につながります。2019年の労働基準法施行規則の改正で電子明示が可能になり、進める際は従業員の同意取得と電子帳簿保存法への対応が欠かせません。

雇用契約書の電子化とは?法的要件と進め方をわかりやすく解説

「雇用契約書を電子化して入社手続きを効率化したいけれど、法的に有効なのか、従業員の同意は必要なのか、電子帳簿保存法への対応で失敗しないか不安に感じている」

こうした疑問に答えます。

本記事の内容

  • 雇用契約書の電子化が認められる法的根拠と要件
  • 電子化のメリットと具体的な進め方の手順
  • 同意取得や電子帳簿保存法など見落としやすい注意点

雇用契約書の電子化は、法律で定められた要件を満たせば有効に行え、印刷や郵送のコスト削減と入社手続きの効率化につながります。

法的な条件と進め方、注意点を押さえれば、安心して電子化を進められます。最後まで読み進め、労務手続きのペーパーレス化に役立ててください。

雇用契約書の電子化とは

雇用契約書の電子化とは、紙で作成し押印していた雇用契約書や労働条件通知書を、電子データとして作成し、労務管理システムや電子契約サービスなどで締結や交付を行うことです。法律で定められた要件を満たせば、電子化した書類も有効に扱えます。

雇用契約書と労働条件通知書の違い

雇用契約書と労働条件通知書は、性質が異なる書類です。両者の違いを理解しておくと、電子化で何が義務なのかを正しく判断できます。

書類性質交付義務
雇用契約書労使双方が合意し署名する契約書法律上の作成義務はない
労働条件通知書使用者が労働条件を明示する書類明示が義務づけられている

労働基準法第15条により、使用者は労働契約を結ぶ際に労働条件を明示する義務があります。実務では両者を兼ねた「労働条件通知書兼雇用契約書」を用いる企業も多く見られます。

電子化が可能になった背景

雇用契約書の電子化が広がった背景には、労働条件の明示方法に関するルールの変更があります。2019年4月の労働基準法施行規則の改正により、明示方法の選択肢が広がりました。

従来は書面での交付が原則でしたが、この改正で労働者が希望した場合に限り、電子メールなどでの明示が認められるようになりました。この変更により、雇用契約に関する書類全体を電子化する動きが進んでいます。

電子化が認められる要件

労働条件を電子的に明示するには、いくつかの要件を満たす必要があります。要件を満たさない方法では、明示義務を果たしたと認められない可能性があります。

満たすべき主な要件は次のとおりです。

  • 労働者本人が電子的な明示を希望していること
  • 受信者を特定して情報を伝える方法であること
  • 出力して書面を作成できる形式であること

これらの要件から、電子メールやそのファイル添付が想定されています。文字数に制限があり添付ができないSMSは、望ましくないとされています。

2024年4月の労働条件明示ルール改正

2024年4月には、労働条件の明示ルールが改正され、明示すべき事項が追加されました。電子化を進める際は、これらの新しい項目も反映する必要があります。

追加された主な明示事項は次のとおりです。

  • 就業場所と業務の変更の範囲(すべての労働者が対象)
  • 更新上限の有無と内容(有期契約の労働者が対象)
  • 無期転換を申し込める機会があること
  • 無期転換後の労働条件

電子契約サービスやテンプレートを使う場合も、これらの項目が漏れなく記載されているかを確認することが大切です。

雇用契約書を電子化するメリット

雇用契約書の電子化は、コスト削減から業務効率化まで多岐にわたります。人事担当者と入社する従業員の双方にとって、手続きの負担が軽くなります。

印刷や郵送のコストを削減できる

電子化によって、雇用契約書にかかる各種コストを削減できます。紙の印刷や封入、郵送にかかる費用や、契約書を保管するためのファイルや保管スペースが不要になるからです。

とりわけ採用人数が多い企業や、遠方の従業員が多い企業ほど効果は大きくなります。郵送での往復にかかっていた費用と時間を、まとめて減らせる点が魅力です。

入社手続きの工数を減らせる

雇用契約書の電子化は、入社手続きにかかる工数の削減につながります。契約書の作成から送付、署名の回収までをオンラインで完結でき、書類の不備があっても差し戻しや再送が簡単になるためです。

紙のやり取りでは数日から1週間以上かかった締結が、短期間で済むようになります。工数管理ツール等で計測すると、人事担当者が書類管理業務から解放され、重要な業務に時間を使えていることがよくわかります。

契約書を一元管理できる

電子化した雇用契約書は、システム上で一元管理できます。締結済みの契約書がデータとして蓄積されるため、必要なときに検索してすぐに取り出せます。

紙のように保管場所を探したり、原本を紛失したりする心配がありません。契約内容の確認や更新の管理も効率的になり、労務DXの取り組みとして労務管理全体の質が高まります。

リモートでの契約締結に対応できる

雇用契約書の電子化は、リモートでの契約締結を可能にします。従業員が出社しなくても、オンライン上で契約内容を確認し、署名まで完了できるからです。

テレワークや遠隔地での採用が広がるなかで、対面を前提としない締結の仕組みは欠かせません。入社日に合わせて場所を問わず手続きを進め、その後スムーズに勤怠管理アプリの利用を開始できる点も、電子化ならではの利点です。

雇用契約書を電子化する手順

雇用契約書の電子化は、順を追って進めることでスムーズに導入できます。方針の決定から契約データの保管まで、4つのステップで整理します。

①:電子化の方針と対象範囲を決める

はじめに、自社の人事課題と照らし合わせながら電子化の方針と対象範囲を決めます。新規に入社する従業員だけを対象にするのか、既存の従業員の更新分も含めるのかによって、進め方が変わるからです。

自社の労働条件通知書や雇用契約書のどの書類を電子化するかを整理します。あわせて、紙を希望する従業員への対応方針も決めておくと、運用を始めた後の混乱を防げます。

②:従業員の同意を取得する

次に、電子化について従業員の同意を取得します。労働条件の電子的な明示は、労働者本人の希望が前提となっているためです。

同意を得る主な方法は次のとおりです。

  • 個別に同意書を取得する
  • メールや人事システム上で同意を得る
  • 就業規則で包括的に定める

会社が一方的に電子化を強制することはできません。電子化のメリットを丁寧に説明し、納得を得たうえで同意を記録として残しておくことが大切です。

③:電子契約サービスを導入する

同意の取得後は、電子契約サービスを導入します。契約書の作成から署名の依頼、締結、保管までをオンラインで行える仕組みを整えるためです。

クラウドサインやfreeeサイン、電子印鑑GMOサインなどのサービスが代表的です。労務管理システムのSmartHRのように、入社手続き全体をペーパーレス化できる製品もあります。自社の運用に合ったサービスを選びましょう。

④:契約データを適切に保管する

最後に、締結した契約データを適切に保管します。電子データには保存に関するルールがあり、後から改ざんされていないことを示せる状態で保つ必要があるからです。

締結日時や内容が確認できる形でデータを管理し、必要なときに取り出せるように整理します。保管の要件は電子帳簿保存法とも関わるため、次の章で詳しく確認してください。

雇用契約書を電子化する際の注意点

雇用契約書の電子化には、事前に押さえておくべき注意点があります。法的な要件を満たさないまま進めると、トラブルの原因になりかねません。

従業員の同意が前提になる

電子化を進めるうえで、従業員の同意が前提になる点に注意が必要です。労働条件の電子的な明示は労働者本人の希望を条件としており、会社の都合だけで一律に切り替えることはできません。

同意を得ないまま電子交付を行うと、明示義務を果たしたと認められない可能性があります。従業員が紙を希望する場合に備え、書面での交付にも対応できる体制を残しておくと安心です。

電子帳簿保存法への対応を確認する

電子データで契約書をやり取りする場合は、電子帳簿保存法への対応を確認します。電子取引に該当するデータは、一定の要件を満たして電子保存することが求められるためです。

主な要件は、改ざんを防ぐ真実性の確保と、内容を確認できる可視性の確保です。訂正や削除の履歴が残るクラウドサービスを利用する場合は、タイムスタンプの付与を別途行わなくても要件を満たせるケースがあります。自社の保存方法が要件に合っているかを確認してください。

改ざん防止と証拠力を確保する

電子契約では、改ざん防止と証拠力の確保が重要になります。後から契約内容が書き換えられていないことを示せなければ、いざというときに契約の有効性を証明しにくくなるからです。

電子署名やタイムスタンプは、その時点で契約が存在し、以後改ざんされていないことを証明する手段になります。これらの仕組みを備えた電子契約サービスを利用することで、紙の契約書と同等の信頼性を保てます。

まとめ:雇用契約書の電子化で入社手続きを効率化する

雇用契約書の電子化は、法律で定められた要件を満たせば有効に行え、コスト削減と入社手続きの効率化を実現します。本記事では、電子化の法的根拠と要件、メリット、進め方の手順、注意点を解説しました。

本記事のポイントをおさらいします。

本記事のポイント

  • 雇用契約書の電子化は労働者の希望など要件を満たせば有効に行える
  • 印刷や郵送のコスト削減と入社手続きの効率化につながる
  • 従業員の同意取得と電子帳簿保存法への対応が欠かせない

法的な要件と2024年の改正内容を押さえ、従業員の同意を得たうえで進めれば、雇用契約書の電子化を安心して導入できます。労務手続きのペーパーレス化を通じて、人事担当者の負担軽減と入社体験の向上につなげてください。

雇用契約書の電子化をはじめとする労務のデジタル化について、さらに詳しく知りたい方は、お問い合わせや資料請求からお気軽にご相談ください。

雇用契約書の電子化に関するよくある質問

参考文献

  1. 平成31年4月から、労働条件の明示がFAX・メール・SNS等でもできるようになります(厚生労働省)
  2. 2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(厚生労働省)
  3. 労働基準法等関係主要様式(モデル労働条件通知書/厚生労働省)

執筆者

Tech With 編集部
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編集部

クロステック(産業×テクノロジー)の専門メディア「Tech With」の公式編集部です。多角的なリサーチと、各バーティカル(建設・農業・金融等)の現場キーマンへの丁寧な取材を通じ、DX推進や先端技術導入の全体像を分かりやすく体系化して皆さまにお届けします。

監修者

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