eKYCとは?KYCとの違い・本人確認の導入手順を解説【図解】
この記事のポイント
eKYCとはスマートフォン等を利用してオンライン上で完結させる本人確認の仕組みであり、郵送や来店不要による業務コスト削減や離脱率改善、セキュリティ向上が見込める反面、導入には初期費用や犯収法などの厳格な法規制に対応するシステム運用が必要です。
「eKYCとはどのような仕組みなのか正確に理解し、自社に最適なベンダーを選んで本人確認時のユーザー離脱を防ぎたい」と考えている担当者は多いはずです。こうした疑問に応えるため、基礎知識から具体的な活用方法まで詳しく解説します。
本記事の内容
- eKYCの基礎知識と従来の本人確認(KYC)との違い
- 導入によるコスト削減やセキュリティ向上のメリット
- 失敗しないための導入手順と主要方式の比較
eKYCとは、オンライン上で完結する迅速かつ安全な本人確認の手法を指します。ちなみにこの言葉は「electronic Know Your Customer」の略称です。これまでは郵送が必要だった手続きも、スマートフォンなどのカメラの使用を許可するだけで、自宅からパスポートや免許証を使って簡単に完了できます。
2026年最新の法規制やトレンドに基づき、三菱UFJ銀行などの金融機関でも普及が進むこの技術についてまとめました。業務効率化と売上最大化を両立する具体的なノウハウを解説するため、ぜひ最後までお読みください。
eKYCの基本的な仕組み
2026年現在、キャッシュレス決済の導入が進む中で、銀行口座の開設やスマートフォンの契約でeKYCという言葉を耳にする機会が増えています。eKYCとは、従来は店舗への来店や書類の郵送が必要だった本人確認を、オンライン上で完結させる高度な仕組みです。
eKYCの技術は、スマートフォンのカメラ機能とAIによる画像解析技術の進化によって支えられています。ユーザーは自身のスマホで顔写真付きの本人確認書類と、自身の容貌を撮影して送信するだけで、非対面でも高い信頼性で本人証明が可能です。
言葉の意味
eKYCが何の略かというと、electronic Know Your Customerの略称です。読み方はイー・ケー・ワイ・シーであり、日本語では電子本人確認やオンライン本人確認と呼ばれるのが一般的です。
もともとの語源であるKYCは、銀行などの金融機関が新規取引の際に行う本人確認手続きを意味する専門用語です。そこに電子的なという意味のeがつくことで、デジタル技術を用いたオンライン本人確認の手続きを指すようになりました。
2026年時点では、金融業界や後払い決済の導入時だけでなく、中古買取や不動産賃貸契約など、信頼性が重視されるあらゆる取引で不可欠なインフラとなっています。eKYCの利用方法も非常に簡単になっており、多くのサービスで導入が進んでいる状況です。
従来のKYCとの違い
eKYCとKYCの違いは、利便性とコスト、そして確認のスピードにあります。物理的な制約を排除できる点がeKYCの大きな特徴です。
以下の表は、従来のKYCとeKYCの主な違いをまとめたものです。
| 項目 | 従来のKYC(対面・郵送) | eKYC(オンライン) |
|---|---|---|
| 手続き場所 | 店舗窓口・自宅 | どこでも(スマホ・PC) |
| 必要書類の形態 | 原本提示またはコピー郵送 | 画像・動画データの送信 |
| 完了までの期間 | 数日〜1週間程度 | 最短で数分〜即日 |
| 事業者側のコスト | 人件費・郵送費 | システム利用料 |
| ユーザーの負担 | 来店・投函の手間 | カメラによる撮影のみ |
eKYCの最大のメリットは、店に行く、あるいは書類をポストに投函するといったアナログな工程が一切不要になる点にあります。従来の郵送による確認では本人へ郵便が届くのを数日間待つ必要がありましたが、オンラインなら夜間や休日でも自宅から数分で完了です。
ユーザーの離脱を防ぎたい事業者と、即座にサービスを利用したいユーザーの両者にとって、eKYCは極めて合理的な仕組みといえます。
遵守すべき法規制
eKYC本人確認を導入・運用するにあたっては、犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)を遵守しなければなりません。この法律は、巧妙化するマネー・ロンダリングやテロ資金供与を防止することを目的としています。
2018年の法改正により、オンラインで完結する具体的な手法が定められました。単に身分証の写真を送ればよいわけではなく、犯収法で規定された以下の手法のいずれかを満たす必要があります。
- 本人確認書類の画像と本人の容貌の画像を送信する
- ICチップ情報の読み取りと本人の容貌の画像を送信する
- 公的個人認証サービスを活用する
eKYCの利用時にはアプリへのカメラアクセスを許可し、ライブネス検知などの高度なセキュリティ対策を行うことが法的に求められます。まばたきをさせるなどして写真によるなりすましを防ぐ技術は、厳格な要件を満たすために重要です。
マイナンバーを活用した今後の動向
2026年現在、eKYCの主流はマイナンバーカードを活用した公的個人認証サービスへとシフトしています。パスポートを用いたeKYCによる海外展開や、よりセキュアな認証方法が注目を集めている状況です。
今後の動向として注目すべき点は以下の通りとなります。
- ICチップの読み取りによる偽造書類の完全排除
- 撮影の手間が省け、スマホをかざすだけで完了するフローの普及
- 民間サービスでの年齢確認や住所確認への応用
今後の本人確認のスタンダードは、マイナンバーカード連携になると予測されます。ICチップからのデータ直接読み取りは、カメラによる撮影に比べて偽造リスクが圧倒的に低く、入力ミスも発生しないからです。
実際に三菱UFJ銀行などの大手金融機関をはじめ、多くの事業者がスマホをカードにかざすだけのスピード確認を推奨しています。2026年以降は、撮影する方式からマイナンバーカードを用いたより確実で簡単な認証への移行がさらに加速するでしょう。
eKYCとはオンライン上の本人確認
eKYCは「electronic Know Your Customer」の頭文字を取った略語で、非対面のままオンライン上で本人確認を完了できる点が最大の特徴です。2026年現在は金融機関を中心に、スマートフォンのカメラやICチップ読み取り機能を活用した確認手法が一般的になっています。
従来のKYCとeKYCの違いは、店舗への来店や身分証コピーの郵送といった手間の有無にあります。eKYC本人確認の普及により、ユーザーは24時間365日どこからでも即時に手続きを完了できるようになりました。
eKYCを導入するメリット
eKYCの導入は、事業者とユーザーの双方に大きな利益をもたらします。業務効率化や顧客獲得率の改善、セキュリティ強化、コスト削減の4点が主なメリットです。
2026年現在は、改正法を見据えてパスポートやマイナンバーカードのICチップ読み取り方式への移行が加速しています。これにより、これまで以上に高度な恩恵を享受できる環境が整いました。
本人確認業務の負担軽減
eKYCを導入すると、バックオフィスにおける本人確認業務の負担が劇的に軽減されます。AIによる画像認識やOCR技術を活用し、氏名や住所の入力内容と書類を自動で照合可能です。
従来の本人確認とオンライン完結型のeKYCとで、バックオフィス業務がどのように変化するかを整理すると次のようになります。
- 確認場所:店舗や自宅からの郵送 → スマートフォン・PC上での操作のみ
- 事務作業:書類の開封・突合・保管といった手作業 → デジタルデータの自動照合
- 処理時間:申込から数日〜1週間程度 → 最短即日
すべてのデータはデジタル管理されるため、審査状況の追跡や検索も容易になります。深夜や休日でも申込受付から審査までを自動化できるため、業務の平準化に大きく寄与する仕組みです。
登録手続きにおける離脱率の改善
ユーザーがサービスに申し込む際の離脱率を改善できる点は、売上に直結する重要なメリットです。郵送などの物理的なやり取りを廃止することで、ユーザーの利用意欲を削がずに手続きを完了させられます。
- 即時性の向上:待ち時間をなくし、スムーズなサービス利用を促します
- 不備による差し戻しの減少:カメラへのアクセスを許可してその場で撮影する際、エラーを即時通知します
- UXの最適化:スマホ一台で完結する手軽さは、デジタルネイティブ世代に不可欠な要素です
手続きが煩雑なほどユーザーは入力を諦めてしまいます。利便性の向上は顧客満足度を高め、成約率を最大化させるための有力な手段です。
生体認証によるセキュリティ向上
eKYCは、生体認証技術を組み合わせることで、従来の身分証コピー送付よりも高いセキュリティを誇ります。本人の容貌と身分証の顔写真をAIで照合するため、なりすましを高度に防ぐことが可能です。
2026年現在は、金融のサイバーセキュリティ強化の一環として、身分証の偽造対策としてICチップの読み取り方式が強く推奨されています。ICチップ内の署名を検証すれば、画像改ざんのリスクをほぼゼロに抑えられるのが特徴です。
2027年4月には、画像送信のみの方式が制限される予定となっています。今後は、ICチップと顔認証を組み合わせる手法や、公的個人認証の活用がさらに主流となるでしょう。
ペーパーレス化に伴うコスト削減
物理的な書類を扱わないことで、企業の運用コストを大幅に削減できます。郵送費用だけでなく、コピーの印刷代や、書類を数年間保管するための倉庫費用も不要です。
- 郵送・事務コスト:返信封筒や転送不要郵便の送付費用をカットします
- 人件費:書類の開封やファイリング、データ入力に要していた工数を削減します
デジタルデータによる保存は、コンプライアンスの観点からも非常に効率的です。大手金融機関でも導入が進むeKYCは、コスト構造を抜本的に改善し、収益性の向上に貢献します。
eKYCを運用するデメリット
eKYCはオンライン上で完結する本人確認の仕組みとして、2026年現在は金融機関などの大手組織だけでなく、幅広い業界で導入が進んでいます。便利な一方で運用にはいくつかの課題も存在するのが実情です。
メリットとデメリットを比較し、適切な対策を講じることが重要です。特に法規制の変化に伴う影響を正しく理解しておきましょう。
システム導入時の初期費用
eKYC導入の大きな壁となるのが、システム構築に伴う初期費用です。API連携の費用や自社側の改修コストが発生し、大きな負担となる場合があります。
金融機関でも重視される犯収法の要件は、今後さらに厳格化される見通しです。2027年には従来の画像送付方式が制限されるため、マイナンバーカードのICチップを活用する方式への移行費用も考慮しなければなりません。
| 費用項目 | 内容 | 発生タイミング |
|---|---|---|
| ベンダー初期費用 | プラットフォーム利用開始のコスト | 契約および導入時 |
| システム改修費 | 自社サイトやアプリへの組み込み費用 | 導入時や方式変更時 |
| 法規制対応コスト | ICチップ読取やJPKI対応の追加実装費 | 随時(法改正時) |
単に導入するだけでなく最新の法規制に適合させるための追加投資が必要です。eKYCの略称や基本的な仕組みだけでなく、将来的なコスト負担も視野に入れて検討してください。
既存システムと統合するためのリソース確保
eKYCの運用を成功させるには、既存の業務フローやシステムとの円滑な統合が不可欠です。本人確認は会員登録や口座開設の工程と密接に関わるため、専門リソースの確保が課題となります。
従来の対面・郵送によるKYCとeKYCを比較すると、データ処理の即時性やデジタル連携の深さという点で大きな差が生まれます。導入にあたっては以下のリソースが必要になります。
- システム開発リソース:基幹システムとデータ連携を行うためのエンジニア確保
- 運用設計リソース:オンライン確認後の最終承認に関するワークフロー構築
- 専門知識リソース:自社のサービスが法規制のどの類型に該当するかを判断する知見
2026年現在は次世代の認証方式への移行期にあたります。従来の画像審査からICチップによる自動検証へ転換するための体制強化が求められます。
カメラのアクセス許可による離脱の懸念
eKYCの実装方法によっては、ブラウザやアプリでのカメラ許可がユーザーの離脱を招く懸念があります。操作の複雑さや心理的な抵抗感が、本人確認の中断につながるためです。
ユーザーがストレスを感じやすい主な要因を整理しました。
- カメラアクセスの拒否:プライバシーへの懸念からアクセスを拒否してしまう
- 撮影の失敗:照明の反射やピントのズレにより撮影がスムーズに進まない
- デバイスの制約:古い機種やOSの影響でカメラが正常に起動しない
eKYCはパスポートや免許証の撮影が必要ですが、UX設計が不十分だとユーザーは離脱します。現在は撮影の手間を減らせる公的個人認証(JPKI)のような、より離脱率の低い手法への切り替えが推奨されています。
eKYCとはオンラインで完結する本人確認
eKYCは、スマートフォンやPCのカメラ機能を用いて非対面のまま本人確認を完了できる手続きです。書類の郵送や来店を必要としない点が、従来の確認方法との最大の違いといえます。
対面での面談や郵送物の受け取りが不要になった点は、従来のKYCにはなかった大きな進化です。オンライン上で手続きが完結する特性により、2026年現在は金融機関の口座開設やスマホ契約、あるいはサブスクの決済システムにおける主流の手法となりました。
以下に、企業がeKYCを導入するための具体的な手順を解説します。
eKYCを自社に導入する手順
eKYCの導入には、システムの組み込みだけでなく法規制への適合や適切な方式の選択が欠かせません。2027年4月には大きな法改正が控えており、2026年現在の導入計画には最新動向を反映させる必要があります。
①自社に必要な法的要件を定義する
eKYC導入の際は、まず自社の事業に関連する法的要件を整理してください。日本での非対面によるeKYC本人確認は、主に「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」で規定されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主な関連法令 | 犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法) |
| 2027年4月の改正 | 画像送信による「ホ方式」の原則廃止 |
| 推奨される確認書類 | マイナンバーカード、運転免許証(ICチップ付き) |
銀行などの特定事業者は、犯収法が定める厳格な手法を採用しなければなりません。不備があると法令違反のリスクがあるため、ICチップ読み取りなどの確実な方法を検討することが大切です。
②最適な運用方式を決定する
法的要件が明確になったら、自社サービスに最適なeKYCの手法を決定します。2026年現在は、主に以下の2つのアプローチが活用されています。
- ICチップ読み取り方式:スマホのNFC機能で免許証等のチップを読み取る
- 公的個人認証サービス(JPKI):マイナンバーカードの電子証明書を利用する
三菱UFJ銀行などの大手金融機関では、セキュリティと即時性を両立するためICチップ活用型を採用しています。離脱率を抑えるなら操作が簡単なJPKI、普及率を重視するなら免許証対応の方式を選ぶのが得策です。
③外部ベンダーの製品を比較検討する
自社でシステムを構築するのはコスト面で難しいため、外部ベンダーの製品を比較します。選定の際は、2027年4月の法改正への対応状況やAPIの連携しやすさを確認してください。
また、パスポートへの対応可否など、扱う身分証の種類も重要な比較ポイントです。スムーズなカメラ起動ができる製品を選ぶことで、カメラアクセスの許可設定に関する問題によるユーザー離脱を防げます。
④既存システムで結合テストを行う
選定したツールを自社システムと統合し、入念な結合テストを実施します。定期課金のシステムなどにおける本人確認は会員登録フローの一部であるため、前後のデータ整合性が非常に重要です。
- 入力された氏名とeKYC取得データの一致確認
- 承認や否認ステータスの管理画面への反映
- 通信環境の悪い場所や古い端末でのエラー挙動
これらの項目を徹底的に確認し、なりすましリスクを排除します。システム間連携が完璧であることを確かめ、実稼働に備えてください。
⑤運用マニュアルに沿って実稼働を開始する
最終ステップとして現場の運用マニュアルを整備し、実稼働を開始します。eKYCを導入しても、読み取りエラー時や目視確認が必要な場面では人の判断が欠かせません。
不備があった際の再依頼手順や、法改正に合わせたマニュアルの更新体制を構築してください。2026年現在はICチップ方式への過渡期であるため、スケジュール管理を徹底し、安全な運用を継続することが求められます。
まとめ:eKYCとはオンラインで完結する迅速で安全な本人確認手法のこと
eKYCは、生体認証やマイナンバーを活用しながらオンライン上で完結させる本人確認の総称です。2026年現在は、利便性と安全性を両立するデジタル完結型の手法として、もはや欠かせない標準になったといえるでしょう。
本記事では、eKYCのやり方やパスポートを利用した検証方法、さらに大手金融機関でも導入が進む背景を解説しました。従来の対面で行うKYCとの違いを理解し、カメラの許可設定などユーザーが迷いやすいポイントを把握することがスムーズな導入の鍵です。
本記事のポイント
- eKYCとは「electronic Know Your Customer」の略で、オンラインで完結する本人確認のこと
- 法規制に準拠しながら郵送コストの削減やユーザー離脱率の改善を実現できる
- 導入時には自社の法的要件を明確にし、最適なベンダー選定を行うことが重要
適切なソリューションを選択すれば、セキュリティの強化と業務効率化を同時に達成できます。顧客体験を劇的に向上させるために、まずは自社に最適な導入プランの検討から始めましょう。
主要ベンダーの資料請求や比較を行い、具体的なシステム連携について検討を進めてください。不明点や要件定義に関する悩みがあれば、専門会社へ相談してみるのが近道です。
「eKYCとは」に関するよくある質問
参考文献
執筆者
編集部
クロステック(産業×テクノロジー)の専門メディア「Tech With」の公式編集部です。多角的なリサーチと、各バーティカル(建設・農業・金融等)の現場キーマンへの丁寧な取材を通じ、DX推進や先端技術導入の全体像を分かりやすく体系化して皆さまにお届けします。
監修者
リサーチチーム
クロステック(産業×テクノロジー)の市場動向や先端事例、補助金情報などを多角的に調査・分析する専門チーム。AIを活用した網羅的リサーチと、現場取材に基づく一次データを組み合わせ、ビジネスの意思決定を支援する独自レポートや体系的なガイドラインの作成・監修を行っています。
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